J. Urabe Lab

東北大学

大学院生命科学研究科

生態発生適応科学専攻

生態ダイナミクス講座

部 生物学科

 

Home >>  Projects >> Project (2)

動物プランクトンの採集 Schindler Trapを使おう!

   

操作方法

Schindler Trap (東北大型:12L容量)

水中に沈めるときは上下のフタが水流で開いているが、採集深度でトラップを止め、引き上げると上下のフタが自動的に閉まる。水面下に引き上げ、上のフタを静かにあけながら湖水をネットを通じて濾過する。コットエンドに動物プランクトンが捕集されたら、サンプルを移し替えることなく再び沈めて、異なる深度の動物プランクトンを続けて採集することが出来る。この操作を繰り返すことで、必要な深度から、必要な容量の動物プランクトンを捕集する。

12L容量の大きさであれば、ウインチを使わず、ボートなどから手作業で容易に操作することが出来る。

ネットのメッシュサイズやコットエンドは交換可。

Wildco社製のSchindler trap

Schindler trapの入手先

  離合社(制作販売) http://www.rigo.co.jp/

  日本海洋株式会社(Wildco社製の輸入販売) http://www.nipponkaiyo.co.jp/

動物プランクトンの採集はコーン型のいわゆるプランクトンネットで行うのが一般的です。しかし、プランクトンネットは植物プラクトンなどによる目詰まりが起こりやすいため、特定の深さから鉛直曳きをしても、ネットを通過する水の量は限られてしまいます。また、Copepodaなど比較的遊泳力のある動物プランクトン種は、プランクトンネットの振動や白色のネットなどに応答して逃げてしまうという報告もあります。 このため、プランクトンネットは動物プランクトンの定量採集には向いていません。定量採集とは、例えば1リットルあたりのミジンコの個体数など、個体群密度を見積もるための採集です。湖沼の生態学的研究では、目的により、動物プランクトンの個体群密度を正確に調べる必要があります。そのような場合、動物プランクトンの定量採集には、例えばバンドーン型の採水器で湖水を採水し、陸上で一定量の湖水をハンドネットで濾して濃縮するといった方法が用いられます。しかし、、採水器で湖水を採る場合、10Lなど重い水を陸上に引き上げなければならず、力が必要です。また、バンドーン型の採水器は重いので取り回しが悪く、メッセンジャーによる開閉が失敗すると時に疲労感が伴います。


日本ではプランクトンの採集というと、上記したプランクトンネットが一般的ですが、欧米では動物プランクトンの定量採集にSchindler-Patalas trap(省略して、Schindler trap)がよく用いられます。このトラップはカナダのプランクトン研究者 Kazimierz Patalasさんが考案し、その後、同じカナダの陸水学の巨人David Schindlerさんが改良した動物プランクトン用の採集器具です。一定量の水を囲い込んでネット濾過するため、動物プランクトンの密度を正確に見積もることが出来、迅速に操作することで動物プランクトンの逃避行動の影響も最小限に押さえられることが出来ます。また、操作が簡便で容易であるため、採水器による採集に比べて少ない労力で、しかも短時間に採集を行うことが出来ます。さらに、採集と濃縮が連続しているため、沈降と引き上げを繰り返して行うことで、異なる水深の動物プランクトンを1つのサンプルとして採集することも出来ます。このトラップはネットの部分を交換することが出来、甲殻類プランクトンだけを対象にする場合は100umメッシュ(NXX13)を、ワムシ類も対象にする場合には63umメッシュ(NXX25)が装填できるなど、メッシュサイズを変えることで、目的に応じた採集に用いることが出来ます。


こんなに便利で効果的な採集器具ですが、日本では殆ど使われていません。おそらく、これまでこの採集器具が日本で正しく紹介されることがなく、また入手も困難であったためだと思われます。

 私たちの研究室では、10年ほど前から、動物プランクトン採集にあたって、このSchindler-trapを使用しています。幸いなことに、このtrap、いくつかの理化学機器取り扱い店で輸入もしくは制作出来るようになったため、日本でも入手が可能になりました。Schindler-trapは国際的にもスタンダードな採集器具なので、動物プランクトンの調査/研究ははSchindler trapを使って行いましょう。

再生されない場合は、こちらからご覧下さい。

Home            Projects        Topics         Publications(E)          Publications (J)         Photo     C V