[三井物産環境基金(FY2011-2014)(FY2015-2017)]

3.11東北大震災の津波は東北沿岸の生態系にどんな影響を及ぼしたのだろうか?また、震災前の状態に回復していいくのだろうか?

2011年7月 松川浦

海と陸と水の境界にある生態系、干潟、水田、島嶼では、東日本大震災の津波による深刻な影響が懸念されています。本研究は、これら生態系を対象に生物モニタリング調査を行うことで津波撹乱の影響やその地域差を把握するとともに、撹乱を受けた生態系の回復条件や阻害要因を検出することで復興へ向けたより良い土地利用や事業の推進に情報を提供し、地域が生態系の機能やサービス(恩恵)を利用できる道筋を創ります。
【研究概要】三陸から仙台湾に至る干潟、南三陸から気仙沼に至る複雑な海岸線に点在する多様な水田、松島湾の浦戸諸島を対象に市民参加型の生物多様性調査を行います。その結果を震災前やサイト間で比較することで津波撹乱の影響を評価します。また向こう10年を目処に継続的な調査を行うことで撹乱を受けた生態系の回復過程を追跡・監視し、地域復興の鍵となる自然や生物多様性の再生や市民の自然・生態系意識の向上に役立てます。

干潟調査後の生物ソーティング

【なぜ生息生物のモニタリングが必要なのか】

・津波による大規模撹乱の影響は生物が語っている。
・残された生息場所の確保は、生態系の回復のシーズとなる。
・大きな撹乱を受けた生態系では、外来種の侵入を防除するための監視が必要である。
・大きな撹乱を受けた生態系では、外来種の侵入を防除するための監視が必要である。
・自然や生物多様性は地域再生の資源となる。

【どのような調査なの?】

生物や生態系について事前知識のない一般の方にも楽しめるプログラムで調査を実施しています。例えば、12人程度を1チームにして調査対象域を一定時間探索し、発見した生物を採集します。採集した生物を持ち寄り、専門家の指導のもとで採集した生物の観察や種の同定を行い、生息リストを作成したり、発見頻度から生息密度を推定したりします。その過程で、生態系や生物多様性の機能、生物群集が出来るしくみや個々の生物の生活について理解を深め、私たちの身の回りにある自然について考える機会を提供します。

参加された市民調査員のみなさん

・このプロジェクトに参加された方の記事はこちら。

・一般市民のこの調査への参加は、NPO法人アースウオッチジャパンを通じて募集しています。

・この研究調査は、「海とたんぼからのグリーン復興プロジェクト」の活動の1つとして実施しています。