Ishara Perera さん(現山口大学)を主著とする論文「Niche partitioning and phylogenetic distance of rotifer species revealed by the four-year temporal dynamics in a small mountain lake」がLimnology誌に掲載されました。この論文は山形県の山地湖沼のワムシ群集を4年間にわたって調べた研究で、「系統が近い種はニッチ重複度が少ない」という仮説を検証したものです。遺伝的に近い種は進化時間が短いため良く似たニッチを有していると考えられる一方、ニッチが近いと競争が激化するので共存しにくくなるとも考えられます。そこで、どの季節にどのようなワムシ種が出現するかを綿密に調べたところ、系統的に近い種間では出現する季節の餌条件等は良く似ていました。しかし、経時的ニッチ重複度は小さく、特に水温に対する選好性が異なることなっていました。この結果は、餌環境や対捕食者に対するニッチは似ていても、唯一水温に対する適応を変えることで種間競争を避けていることを示唆しています。
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