鈴木碩通を主著とする論文「Differences in factors determining taxon-based and trait-based community structures: a field test using zooplankton」がLimnology and Oceanography誌に掲載されました。この論文では河川水辺の国勢調査で得られたダム湖の動物プランクトンデータを解析しています。その解析によれば、生物群集を生態系機能群を構成要素として記述した場合、その群集構造の多くは水質や捕食者である魚類組成、ダム湖の大きさや古さなどでよく説明されました。この結果は、生息環境がよく似ていれば機能的によく似た生物群によって群集が構成されていることを意味しています。しかし、一般的な記述、つまりタクサレベル(種や属)で記述した場合、その群集構造は環境要因だけでなくダム湖がおかれている地域や緯度経度なども重要な決定要因であることがわかりました。これは、種によって分布域や分散能力が異なるためであると考えられます。このように、生物群集の構造決定要因は、群集をどのように記述するかによって異なることがわかりました。
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