阿寒湖で、湖底堆積物に含まれるDNAを利用して過去のマリモの生物量を調べた研究成果を東北大学からプレスリリースしました。
発表論文:
Urabe, J., I. Wakana, H. Ohtsuki, M. K. Sakata, Y. Ohtake, R. Ichige, M. Kuwae, T. Minamoto. (2025) Reconstruction of marimo population dynamics over 200 years using molecular markers and fossil plankton remains. Environmental DNA, 7:e70085. doi.org/10.1002/edn3.70085

A: およそ100年前の阿寒湖(釧路叢書 ; 第37巻より)、B:阿寒湖のマリモ、C:マリモの藻類細胞(m)と共在している藍細菌(c)、D:DNAの分解速度の推定に利用した ハリナガミジンコ(Daphnia dentifera)の尾爪
【発表のポイント】
国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」の過去の生物量を湖底堆積物に残存するDNA(環境DNA)とミジンコ遺骸を用いて推定しました。
堆積物中のマリモDNAは時間とともに分解し減衰していましたが、同じ堆積物に含まれるミジンコの遺骸とDNAを用いてDNA分解速度を算出して補正する方法を開発した。
その結果、120年前までは現在の10~100倍だったマリモの生物量は、20世紀前半の森林伐採や水力発電用取水が著しかった時期に大きく減少し、マリモの生育に土砂流入や水位変動が大きな脅威であったことがわかりました。
詳しい解説はこちら:プレスリリース本文
論文のサマリーをChat GPTでマンガにしてみた。

ここに出てくるYoshiiとは、吉井義次博士(東北帝国大学教授、日本生態学会初代会長)のことで、内務省史蹟名勝天然記念物考査員として、マリモの天然祈念部指定に尽力しました。吉井義次先生は、東北大学の植物生態学教授として八甲田植物園を開設したり、日本生態学会の設立を設立し初代の会長として野外研究を牽引するなど、日本における生態学の進展に大きな貢献をしました。
一番最後のコマにある「frourism]はAIのフェイク英語(造語)らしい。