故中野繁との交流をベースに、河川の自然と課題を書き綴ったKurt D. Fauschさんの名著の邦訳本が、「川を愛する科学者の発見の旅」という副題でアウトドアショップA&Fの書籍部から出版されました。翻訳はアングラーでもあり翻訳家でもある東知憲さん。翻訳作業には名城大学の谷口義則さん、モンタナ大学の菅野陽一郎さんとともに、私も少しだけお手伝いさせていただきました。

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同じ時代の雰囲気を共有した中野繁との思い出はいろいろありますが、「生きていたら彼は何と言うだろうな」と思うときが、時々あります。よく似た大学院・若手時代を経験していたので、川のことよりも、自然や研究に対する熱い思いのほうが、中野繁の印象として私には強く残っています。本書で書き綴るカート・ファイシュさんの行間からも、そのことが伺えます。広く生態系を知るための姿勢、川や淡水魚を知るための極意、生態系の仕組みを紐解くにはどうしたらよいか、などなど、好奇心ある学生や研究者にぜひ手にとってほしい書籍です。